スポーツは健康増進につながる素晴らしい手段です。しかし、スポーツをするには、体の様々な器官が正常に機能することが必要です。その中でも、口腔の機能は重要な役割を担っています。スポーツ選手には、バランスや力を必要とする競技において、咬合の特性が重要だと考えられます。そのため、中高齢者のスポーツを支援するためには、歯科医師が対応することも大切です。スポーツを始める前には、内科的なチェックだけでなく、歯科的なチェックも受けることが必要です。
興味深い研究結果があります。成人や高齢者の運動習慣と歯の本数には関連性があることが分かっています。スポーツをするためには、様々な要因が関与するため、単純に運動をすれば歯が健康になるわけではありません。しかし、喪失歯数と運動習慣の関係は、高齢になるほど影響が現れると考えられます。また、実際に「8020達成者」(80歳になっても20本以上自分の歯を保つ運動をしている人)は、日常的な身体活動能力が高く、健康的な生活を送っていることが知られています。中高齢者がスポーツをすることで、多くの利益を享受できると同時に、健康的な生活を送るための歯科的な支援が必要であることも明らかです。
マウスガードの重要性
学校歯科保健においては、児童や生徒が積極的に健康づくりに取り組んでおり、その成果が出ていることがわかっています。子どもたちの虫歯も減少し、軽症化しています。しかし、学校歯科保健の障害給付率において、最も高いのは「歯牙障害」です。アクシデントにより、健全な歯を失ってしまうケースが多く見られます。特に、クラブ活動などの種目によっては、マウスガードを使用することで自ら事故を未然に防ぐことができます。例えば、野球ではヘルメットやグローブなどの防具を使用します。
まだまだスポーツの分野において、歯科が重要視されていない傾向があります。しかし、実際にスポーツの場面で歯を失うケースは多く、子どもたちだけでなく、親や指導者も、マウスガードを使用することを意識する必要があります。(もちろんマウスガードが必要かどうかは総合的に判断いたします。)また、近年の研究により、マウスガードは口腔内の障害予防だけでなく、パフォーマンス向上にも期待されています。
スポーツをしている子どもたちは、口の外傷予防にマウスガードを使用し、定期的にかかりつけの歯科医院に行ってマウスガードのチェックを受けると同時に、口腔衛生の指導を受けることが大切です。そうすることで、体の健康管理と同じように、口腔内の健康管理や予防にも取り組むことができます。